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Takayanagi Lab.

Research

低エネルギー電子による解離性電子付着

・ 解離性電子付着とは

エネルギーの低い電子が分子に衝突すると、一時的に分子がアニオンになった後に分子が解離することがあります。これを解離性電子付着と呼びます。

AB + e- → AB- → A + B-

解離性電子付着はプラズマ工学や放射化学などの様々な分野で大きな役割を果たしていて、対象になる分子も水素分子やハロゲン化炭化水素、生体分子など多岐にわたります。

・ 解離性電子付着とDNAの損傷

解離性電子付着はDNA分子でも起こります。放射線が物質に当たると、エネルギーの低い二次電子が生じる場合があります。これがDNAに付着すると、解離性電子付着によりDNA分子が損傷します。この事実は、2000年にカナダのSancheらのグループによって初めて発見されました。解離性電子付着によるDNA損傷のメカニズムについて実験・理論の双方からの早急な解明が求められています。(下図)

・ 当研究室で取り組んでいること

解離性電子付着が起こる確率は解離性電子付着断面積で表されます。解離性電子付着を理解するためには、この断面積を求めることが必要です。しかし、複雑な分子では 断面積を計算するのが困難です。そこで、当研究室では多原子分子の解離性付着断面積を計算するための新しい方法論の開発をしています。下図はCF3Clの解離性付着断面積です。