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入力ファイル

計算で必要なファイルは以下の4つです。

ただし上記以外のファイル名や英小文字にすると認識しません。

 INCARのキーワードで注意しなければならないのはNBANDS(バンド数)です。 バンド数は全原子の価電子の数で決まり、通常は全価電子数の1/2個以上をバンド数として取ります。 しかし、磁性を持つ金属を扱う場合はスピンを考慮した計算(ISPIN=2)が必要であるため、 以下の式で換算された値以上を取ります。

バンド数 ≧ (価電子数÷2+磁化率÷2)×原子数
 計算時間はカットオフエネルギー、K-pointでほぼ決まります。 どれも一般的に値が大きいほど精度は上がりますが、計算コストが莫大に増加します。 まず上記2つの値に対してエネルギーや格子定数の収束を確認してください。 収束を確認した値を用いたほうが、効率的かつ信頼できるデータとなります。
 BCC格子であるFe(1×1×1)セルのSCF計算を例に挙げます。

 INCARは実行したい計算のキーワードを書きます。金属格子のSCF計算の場合、 以下のキーワードが最低限必要になります。
    
SYSTEM
PREC
ENCUT
IALGO
NBANDS
GGA
ISPIN
EDIFF
ISMEAR
= Fe2
= Normal
= 360
= 48
= 16
= PE
= 2
= 1E-8
= 1   
:タイトル
:計算精度
:カットオフエネルギー(POTCARにデフォルトの値が記載)
:ハミルトニアンの固有エネルギーを求める計算手法(48:RMM-DIIS法)
:バンド数
:ポテンシャル
:スピンを考慮(1:しない 2:する)
:SCFの収束条件
:金属などで用いられる(Smearingの詳細は各自調べてください)
 POSCARでは、計算に使うセルの大きさと原子の種類、個数、位置を指定します。 セルは3次元ベクトルで表し、原子の位置はセルのベクトルに対する相対位置(direct)で指定します。 また周期境界条件が存在するので、原子を配置する際には気をつけること。
    
BCC
2.83
1.0 0.0 0.0
0.0 1.0 0.0
0.0 0.0 1.0
2
direct
0.0 0.0 0.0
0.5 0.5 0.5
:タイトル
:格子定数 Å
:セルのベクトルx (x辺の格子長は 格子定数×ベクトルxのノルム )
:セルのベクトルy (y辺の格子長は 格子定数×ベクトルyのノルム )
:セルのベクトルz (z辺の格子長は 格子定数×ベクトルzのノルム )
:原子数 (2種類の原子を使用する場合→詳細は孤立系計算のページで)
:相対位置で原子の位置を指定
:1番目の座標
:2番目の座標

 VESTAなどの可視化ソフトでPOSCARを読み込むことが出来るので、確認したほうが良いと思います。 上記のPOSCARを可視化すると以下のようになります。
 POTCARはVASPからダウンロード出来ます。使用したい計算レベル(PBEやPW91)を選択し、 原子のポテンシャルをコピーして、ファイル名をPOTCARとします。以下、ポテンシャルに 書かれている最初の内容です。
    
PAW_PBE Fe 06Sep2000
8.00000000000000000
parameters from PSCTR are:
・・・・・・
POMASS = 55.847
ENMAX = 267.883
・・・・・・
:ポテンシャルの種類 原子の種類 ポテンシャル更新日
:計算に用いる価電子数


:原子質量
:カットオフエネルギー(INCARではこの値以上を取ると良い)

 KPOINTSではk点のメッシュの切り方などを指定できます。以下は自動でメッシュを切る方法です。 また、一般的にk点の数は格子定数に反比例します。
    
Automatic mesh
0
Gamma
12 12 12
0. 0. 0.
:コメント行
:(0とすると自動でメッシュを切る)
:K空間のΓ点(逆格子ベクトルの0,0,0)を原点
:K点の数(kx, ky, kz)
:原点からどれほどシフトさせるか