基礎化学科について
 
 
2005年5月10日(火)埼玉県立越谷北高等学校にて
大学体験講座 「現代の有機化学−有機典型元素化学を中心として−」
(斉藤雅一助教授)

埼玉県立越谷北高等学校では、毎年進路指導の一環としていろいろな専門分野に属する大学の教員が出向き、高校生に大学の講義を体験してもらうという大学体験講座が開かれている。今年の5月、私はその講座に大学の化学の教員として出向き、私の専門とする研究分野の概観を解説した。
前もって高校生に数学、物理、生物、化学、その他文科系の分野などから1つを選択させているとのことであったが、化学はそれほど多くなく、物理よりも希望者が少なかった。
私の講義では、有機化合物の骨格を構成する炭素を同族で高周期のケイ素などに置き換えると、どのような新しい性質が生まれるのか、またどのような性質は同じなのか、ということを解説した。高校生でも元素の周期表と周期律を知っているのであるが、その周期律に関しては、通常「似ている」と習うだけで、具体的に「どのような点で似ているのか」という知識は欠落しているように思う。そこで、私は現代の有機典型元素化学において研究の主題となっている、炭素と同様な多重結合の系が高周期元素でも構築できるのか、という疑問の解決に至る道筋と周期律とを関連づけて解説した。
私の主義として、高校生だから簡単な話しをしようというのではなく、平易なところからできるだけ最先端の分野に近づくような道筋で教材を作るように心がけたが、講義中に仕切りにうなずいたり、「ああ」などと反応があるなど、それなりに理解への手助けになっていたようである。
我々の研究分野は、新しい物質群を創製することが新しい可能性、夢への第一歩なのであるという哲学の下、発展してきたように思う。講義の最後には、そのような夢や可能性を追い求める大学の基礎研究がいかに実り多い物であるかを強調した。
高校生の食い入るような聴講の態度から、なかなかやりがいのある講義であると感じた。私の講義が、彼らの純粋な知的好奇心の延長に最先端の基礎研究があるのであるという意識を持ってもらい、大学の教育や研究に対するイメージを作ることへの一助となっていれば幸いである。

Return


Department of Chemistry, Faculty of Science SAITAMA UNIVERSITY
このホームページに関するご意見、ご感想はchem-admin@chem.saitama-u.ac.jpまで.